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第23回 まだ「メールの下書き」で満足していますか? 業務時間を半減させ、コンサル単価を上げる”本気”のAI活用術

一般公開期間:2026年1月1日 ~ 3月31日

※当記事は2026年1月の内容です。

「ChatGPTを使ってみたけれど、もっともらしい嘘をつくから実務では使えない」
「結局、手直しする時間がかかるから自分で書いた方が早い」

 同業の先生方と話をしていると、AIに対してこのような感想を持たれている方がまだまだ多いように感じます。確かに、少し前まではAIも発展途上で、精度の面で不安がありました。以前、この連載にて「AI入門」的な記事を書いた際は、まずはメールの返信案や挨拶文といった、リスクの少ない部分から触ってみましょうとお伝えしました。

 しかし、技術の進歩は残酷なほど早いです。

 今、この瞬間も「メールの下書き」レベルで止まっている先生と、「実務のど真ん中」でAIを使い倒している先生との間には、生産性の格差が生まれ始めています。私の仕事の感覚で言うと、生産性が2~3倍に上がっているイメージです。

 今回の記事は、少し厳しい言い方になるかもしれませんが、「AIを使えない専門家は、今後淘汰されかねない」という危機感について、そしてそれを乗り越えるための「実務直結のAI活用術」について、踏み込んでお伝えします。

 今回は、前回のような入門編から踏み込み、「遺言書」「遺産分割協議書」「信託契約書」といった、私たちにとって今まで手作業で時間をかけて起案していた業務を、いかにAIと協働して生産性をあげて品質が高い業務に仕上げるか。そして、空いた時間でいかに売上を最大化するか?という方法をお話しします。

1. なぜ今、士業に「AI」が不可欠なのか?

「聴く時間」を確保するための唯一の手段

 私は個別相談においては「顧客の話を7割聴くこと」が信頼構築の鍵だと考えています。顧客は、自分の悩みを深く理解してくれる先生に依頼したいと考えるからです。

 しかし、現実はどうでしょうか?私たち士業や専門家は、常に「時間に追われて」います。

 日中の面談が終われば、事務所に戻って議事録を作成し、膨大な資料を読み込み、契約書のドラフトを作成し、事務連絡のメールを打つ。気づけば夜中になっている……そんな経験は誰にでもあるはずです。
 「お客様の話をじっくり聴きたい」という理想と、「目の前の事務処理をこなさなければならない」という現実。このジレンマを解消する唯一の手段が、「作業のAI化」なのです。

 AIは「魔法の杖」ではありませんが、「超優秀な新人スタッフ」にはなり得ます。
 もし、あなたの事務所に「法的な判断はできないけれど、文章をまとめるスピードは人間の100倍速いスタッフ」が入社したら、どうしますか?おそらく、資料の整理や下書き作成を任せ、あなたは最終的な「チェック」と「お客様への提案」に集中するはずです。
 これこそが、これからの士業に求められるAIとの付き合い方です。「0から1を作る作業」はAIに任せ、専門家は「80点の成果物を100点にする判断」に集中する。そうすることで初めて、私たちは「作業者」から脱却し、真の「コンサルタント」としてお客様に向き合う時間を確保できるのです。

2. 【実務編】 AIで「起案」の常識を変える

 では、具体的にどのようにAIを実務に組み込めばいいのでしょうか。ここでは、起案業務の生産性を劇的に向上させる「音声データの活用」と「意図の指示(ディレクション)」について解説します。

「手書きメモ」から「起案」する時代は終わった

 これまで、起案業務といえば、相談中に必死に取った手書きのメモを見返しながら、薄れゆく記憶を頼りにWordで一から文章を組み立てていたのではないでしょうか。
 ここを根本から変えます。

これからは、「面談や打ち合わせをすべて録音・録画」してください。

 対面での相談なら依頼者の録音・録画の同意を得た後に、ボイスレコーダーやスマートフォンの録音アプリで、オンラインならZoom、Google Meet、Microsoft Teamsなどの録画機能を使います。そして、そのデータを文字起こしツールにかけ、生の会話テキストをそのままAIに読み込ませるのです。

専門家の「意図」を加えることで、AIは化ける

 もちろん、ただ会話ログを読ませるだけでは不十分です。そこに、私たち専門家としての「こうしたい」という意図(法的構成や設計思想)を指示として加えます。
 まずは相談時の録音データをAIに読み込ませ、「相談内容を要約し、法的論点を整理して議事録を作成して」と指示する。その上で、議論内容の概要、重要な要点、そして現在議論となっている論点を確認します。そのまとまった情報に、私たち専門家としての「こうしたい」という意図(法的構成や設計思想)を指示(プロンプト)として加えます。「相談者はAと言っているが、法的にはBの構成で進めるのが最適だ、その前提でドラフトを作って」といったように、「打合せ内容(文字起こしデータ)」+「専門家の意図(プロンプト)」を掛け合わせることで、AIは驚くべき精度のドラフトを吐き出します。

これにより、業務の生産性がものすごく上がります。

 例えば、「この事実関係に基づき、〇〇の条件を満たす遺産分割協議書のドラフトを作成して」と指示する。これだけで、これまで数時間かかっていた「起案」や「整理」の時間が、わずか数分に短縮されます。そして、浮いた時間は、すべてお客様への丁寧なヒアリングや、感情面のケアに充てることができるのです。これこそが、AI時代における士業の正しい時間の使い方です。

※ 前提として、顧客の個人情報(固有名詞)はマスキング(伏せ字)する、AIプラットフォームに学習データとして利用させないように設定するなど、事務所としてセキュリティには十分配慮した上でAIを利用してください。

ケース①:遺言書作成の「たたき台」を一瞬で作る 

 遺言書の作成支援において、最も時間がかかるのは「お客様の想いや財産状況を、法的な文章に変換する作業」です。

 ・AIへの指示(プロンプト)のイメージ  「あなたはベテランの法律実務家です。以下の【相談時の文字起こしテキスト】と【私の作成意図】に基づき、公正証書遺言の原案を作成してください。
【私の作成意図】
・長男に主な財産を継がせる『特定財産承継遺言』の形式にする。
・付言事項は、テキスト内の故人の発言から、家族への感謝が伝わるように感動的にまとめて。
【相談時の文字起こしテキスト】
(ここにZoom等の文字起こしデータを貼り付け)」

 このように指示を出すだけで、AIは瞬時に条文のドラフトを出力してくれます。
 あなたは、AIが出してきた条文を見て、「ここはもう少し法的リスクをケアしよう」「付言事項の言い回しを調整しよう」といった、専門家としての「付加価値」を乗せる作業からスタートできるのです。

ケース②:複雑な遺産分割協議書の整理 

 相続人が多く、対象財産も多岐にわたる遺産分割協議も同様です。長時間の親族間協議の録音データを文字起こしし、AIに読み込ませます。

 【活用ポイント】  ・合意内容の明確化
「この会話データから、誰がどの財産を取得することで合意したか、一覧表に整理して」と指示すれば、聞き漏らしや認識違いを防げます。
・遺産分割協議条項案の作成
 「上記の合意内容に基づき、遺産分割協議書の条項を作成して。特に代償金の支払期限(来月末)と振込先口座の記載を忘れないこと」と投げかければ、漏れのない条項案が出てきます。
ケース③:信託契約書の条項作成 

 最も難易度が高い「家族信託契約書」でも、AIを活用できます。
 お客様との打ち合わせで決まった複雑なスキームも、以下のように指示します。

「認知症対策としての実家管理と、将来の二次相続以降の資産承継(受益者連続)を目的とした信託契約書を作成したい。
以下の【打ち合わせログ】から要件を抽出し、契約書の目次構成と、特に『信託の終了事由』および『残余財産の帰属』に関する条項案を提示して。」

 こう指示することで、「条項の抜け漏れ」を防ぐことができます。
 また、「この契約条項の意味を、法律知識のない80代の委託者にもわかるように解説して」と指示を出せば、そのままお客様への説明資料として使える解説文が出来上がります。

3. 「待ち」から「攻め」へ。マーケティングを自動化する

 AIの活用は、実務(守り)だけではありません。集客(攻め)においても強力な武器になります。

顧客リストはあるのに、アプローチできていない? 

 以前の連載で、「顧客リストを作り、定期的に情報を発信してファンを作ること」の重要性をお話ししました。しかし、多くの先生が「書く時間がない」「ネタがない」と挫折します。

AIで「特定のひとり」に刺さる文章を書く 

 マーケティングの鉄則は、「特定のターゲット(ペルソナ)に向けて発信する」ことです。AIを使えば、これが驚くほど簡単にできます。

「ターゲットは60代の会社経営者。後継者不足に悩んでいる。
このターゲットに対し、家族信託を活用した事業承継のメリットを伝えるメルマガの本文を作成して。専門用語は使わず、経営者の不安に寄り添う、文体で書いて。」

 携帯番号、メールアドレスなどの「顧客リスト」があれば、AIを活用して自動的にメルマガ、広告配信など、専門家のサービスが必要な見込み客に対しての集客に活用することができます。
 AIはターゲットの心に響く構成で文章を生成してくれます。専門家がそれを監修し、少し手直しして配信するだけです。顧客リストという資産を眠らせず、AIを使って常に耕し続ける。これが、価格競争に巻き込まれず、適正価格で受任し続けるための仕組みです。

4. AI導入自体が、新たな「商品」になる

 ここまで読んで、AIを利用すれば「業務が効率化できれば、楽になるな」「集客にも使えるかも」と思われるかもしれません。しかし、私の提案はそこで終わりません。専門家が事務所で実践し、成果が出た「AI活用ノウハウ」。これは、そのまま顧問先への新たな提案商品(BtoB商材)になります。

士業こそ、中小企業のDXリーダーになれる

 今、多くの中小企業が「生産性向上」に悩んでいます。AIを入れたいけれど、どうすればいいかわからない。セキュリティが不安だ。そう考えている経営者は山ほどいます。

そこで、専門家がこう提案するのです。

「社長、うちの事務所ではZoomの録音データから自動で議事録を作り、契約書チェックの時間も半分にしました。そのやり方、御社にも導入しませんか?」

 これは、単なる法律や税務の顧問契約を超えた、「業務改善コンサルティング」です。例えば、私の事務所では、BoxやGoogle Workspaceといったクラウドツールの導入支援や、生成AIを活用した社内業務の効率化支援を行っています。本来の士業業務で信頼を得ているあなただからこそ、社長は安心して社内のデジタル化を任せてくれるのです。「自分の事務所を実験台にしてノウハウを蓄積し、それを商品として販売する」。

 これこそが、AI時代における士業の新しい勝ち筋です。

5. AIは「魔法の杖」ではなく「最強の右腕」

 未経験の業務を受ける時、誰しも不安を感じます。「経験がないから」と断ってしまう真面目な先生も多いでしょう。しかし、これからはAIという「最強の右腕」がいます。未知の分野であっても、AIに基本を調べさせ、論点を整理させ、壁打ち相手になってもらうことで、私たちは自信を持って「できます」と答えることができるようになります。

 AIは、私たちの仕事を奪う敵ではありません。

 私たちが「雑務」から解放され、「人間にしかできない高度な判断」や「お客様への共感」に集中するためのパートナーです。
 しかし、こうして文章で読んでいるだけでは、本当のAIの実力は伝わりません。
 「具体的にどんなプロンプトを入力しているのか?」
 「セキュリティ設定はどうしているのか?」
 「どうやって顧問先にAI導入を提案し、契約を取っているのか?」

 その具体的な「生きたノウハウ」を、私が主催しているセミナーでお伝えしています。

▼【士業・専門家向け】実務直結!AI導入・活用支援セミナー   実務でのプロンプト事例から、導入支援ビジネスの契約実務まで、包み隠さずお伝えします。

 机上の空論ではなく、私の事務所で実際に稼働し、売上を生み出している実例をそのままお持ち帰りいただけます。AI時代に淘汰される側になるか、AIを使いこなして飛躍する側になるか。セミナーでその「答え」を是非、学んでください。